2016年度

受領者からのメッセージ

2016年度受領者からのメッセージ

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2016年度研究助成金受領者(所属は交付時。敬称略・五十音順)
秋光 信佳
東京大学 アイソトープ総合センター研究開発部
研究テーマ:病原体感染に応答した核内RNA分解の抑制機構
この度は栄誉ある貴財団の研究助成に御採択頂き、心より感謝申し上げます。過去の採択者の方々がとても素晴らしい研究を展開されてきておりますので、先輩方に劣らないような良い研究を推進して参りたいと考えております。
今回採択していただいた研究課題は、私自身が10年以上をかけて取り組んできた課題です。この研究テーマを着想した当時、ノンコーディングRNAそのものにどのような生理機能があるかも不明な段階であったにもかかわらず、それらの分解制御を解明しようとした本課題は非常に冒険的課題でした。そのため、競争的資金によるサポートがほとんど得られなかったのですが、その悔しさをバネにこれから研究を発展させたいと胸を膨らませております。今回の助成金をもとに良い研究成果を挙げ、この核内RNA分解の分野を発展させることに微力ながらも貢献したいと考えております。
浅井 禎吾
東京大学 大学院総合文化研究科
研究テーマ:新たな医薬資源を切り開くポストゲノム型天然物探索
この度は平成28年度研究助成に採択して頂き、大変ありがとうございます。私は平成28年3月より、東京大学の駒場キャンパスにて、小さいながら新しい研究室を立ち上げました。駒場の気風に則って、独創的な研究を展開し「おもしろい」成果を発信したいという強い思いをもって赴任してきました。一方で、研究経歴も浅く、様々な不安を抱えながらの船出でもありました。特に研究費の面では、来年度やっていけるのかどうかという先行き不透明な状況でした。そんな中、貴財団からの採択通知を頂き、思い描いていた研究がいよいよ本格的にできると大変嬉しく思ったことを覚えています。せっかく頂いたチャンスですので、学生とともに積極的にチャレンジし、申請内容を超えた成果を挙げ、天然物化学の立場から創薬研究の発展に貢献したいと考えております。改めまして、この度は大変貴重な支援を賜り、審査員の先生方をはじめ、財団関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
飯島 則文
医薬基盤・健康・栄養研究所
研究テーマ:ウィルス感染に対する神経組織での免疫制御機構の解明
この度は貴財団の平成28年度研究助成金に採択して頂き、心より御礼申し上げます。平成28年4月にアメリカより帰国し、日本での研究を立ち上げる際に、本研究助成金に採択していただき大変感謝しております。私は、これまで性器ヘルペス感染に対する粘膜組織や神経組織における生体防御機構の仕組みについて研究してきました。抗ウィルス薬開発の発展で疾病の増悪は抑制することができるようにはなりましたが、現在もウィルス感染後の後遺症に悩まされる場合も少なくはありません。まだまだ末梢組織における免疫制御機構の詳細は未知の部分も多く、採択していただきました本助成金を活用させていただき、オリジナルな研究成果をあげられるよう精進いたします。
石川 勇人
熊本大学 大学院先端科学研究部
研究テーマ:ニトロソアルカンを利用する新規反応の開拓
この度は伝統ある貴財団の研究助成に採択いただき、心より御礼申し上げます。今回採択いただいた研究は、通常取り扱いが難しい化学種を利用する反応開拓であり、有機化学として非常に挑戦的なテーマです。このようなリスクの高い研究を採択していただいた上、選考委員の先生方から「格段に優れた研究提案」と評価していただきました。諸先生方、関係各位に心より感謝すると同時に、これからは自信を持って研究を推進することができます。また、本助成金が2016年熊本地震からの復興に際して大きな励みとなったことは言うまでもありません。本助成のお力添えの元、学生諸君とともに、本研究を高い汎用性をもつ段階まで深化させ、多くの科学者に利用してもらえるよう尽力いたします。
市川 聡
北海道 大学院薬学研究院
研究テーマ:MraYを標的とした薬剤耐性菌薬シーズの理論的開発
この度は平成28年度の貴財団の研究助成金に採択して頂き、誠にありがとうございます。研究室の立ち上げは予想以上に大変で、研究費獲得には日々苦労しています。教室を新たに立ち上げた研究者を手厚く支援する本助成金は、研究室を立ち上げと運営を行ううえで大変貴重で、研究環境を整備できたことに感謝しています。また、選考委員の方からのご意見も、申請研究を推進するうえで大きな励みとなりました。心よりお礼申し上げます。
私は、現在世界中で問題となっている多剤耐性菌に立ち向かうべく、有望な生理活性を持つ天然物を出発点として、有機合成化学と創薬化学を駆使して創薬シーズの理論的開発を推進しています。時間がかかるうえにリスクも伴う研究ではありますが、貴財団研究助成を通じて創薬化学に貢献することを目指し、研究室の教員と20名を超える学生達とともに、日々研究活動に精進して参りたいと思います。
犬塚 博之
東北大学 大学院歯学研究科
研究テーマ:蛋白質分解経路を標的とした脂肪肝炎治療法の開発
この度はアステラス病態代謝研究会の研究助成金に採択頂き、心より御礼申し上げます。本研究助成によりスタートアップのご支援を頂けますことは、挑戦的な課題への取り組みに対する大きな励みとなるものであり、また選考委員の先生から頂きました評価メッセージにも勇気付けられ身の引き締まる思いが致しました。食生活の変化に伴い生活習慣病の増加が顕在化していますが、本研究では、脂肪肝炎発症の分子機序解明に焦点を当てることで、疾患の治療法や予防法の開発に繋げていくことを目標に掲げました。脂肪肝は成人の1割から3割の罹患率が推定される身近な疾患ですが、さらにその約1割が脂肪肝炎に進行するとも報告されています。貴財団研究助成を通じて更に研究を発展させ、少しでも多く社会に貢献していけるよう、より一層努力していきたいと思います。
井上 啓
金沢大学 新学術創成研究機構
研究テーマ:迷走神経活動の肝糖代謝における役割の解明
この度、私どもの研究テーマに対しまして、研究助成を賜りますことを、厚く御礼を申し上げます。私どもの研究室では、糖代謝の制御メカニズムにおける中枢神経と末梢臓器のクロストークを繋ぐ仕組みについて、特に迷走神経を介した脳・肝連関の研究してまいりました。本研究を通じて、糖尿病・高血圧から非アルコール性脂肪性肝疾患に至る生活習慣病の多様な病態を、脳・肝連関と迷走神経制御の破綻という側面から解明し、生活習慣病の新たな予防・治療法の開発につなげていきたいと考えております。その為にも、新たなマウスモデルを用いた本研究の実施に対し、ご支援に応えるべく、精進する所存です。
王 丹
京都大学 物質-細胞統合システム拠点
研究テーマ:生きた脳組織におけるRNA計測イメージングの開発
With a fresh cup of coffee from Kerckhoff, I sat down under the LA sun and indulged myself in this new publication on activity-dependent microRNA maturation at neuronal synapse. The authors delivered a cleverly designed RNA oligo in neurons and gently shone a beam of light as a stimulation to the spine, a synaptic structure that we have trillions in our brain. The spine brightened up due to a molecular cleavage of the RNA oligo. By doing that, the experiment had just revealed us a secret of brain: our genetic program is highly responsive to neuronal activity whether when we are forming a thought, initiating an action, or making a memory, etc. An inner working of RNA molecules in each single brain cell is what we rely on for our cognitive functions. But what is the mechanism? How dynamic can such reactions be and evolve? More questions start to form in my mind as the reading goes on, probably also due to some mysterious RNA reactions that had just happened.
Developing collaborations at UCLA, my goal is to find answers to some of the questions along this line. Our idea is to visualize those reactions in action. Back home at Kyoto University, we have achieved some success in delivering smart RNA probes into living mouse brains so we can detect RNA in working. But where will be the best place to look, what do we need to be careful about in the experiments, how should we be interpreting our observations, how can we make our effort useful to the neuroscience community. There are billions of possibilities, many as the number of synapses we have in our brain. We can learn a lot by discussing with colleagues in neuroscience, bioinformatics, and in RNA biology. New ideas are coming up that I can't wait to go back to my home institution to test them, knowing we have the strongest support by our society. What a generous gift from Astellas Foundation that supports global research efforts to continuously improve health of all human beings. Receiving such a gift makes me feel like a billionaire.
大寺 秀典
九州大学 大学院医学研究院
研究テーマ:アポトーシスによるミトコンドリアの構造変化
このたびは貴財団の平成27年度研究助成金に採択していただき、財団関係の皆様、選考委員会の先生方に心より感謝申し上げます。私のような研究室主宰者ではない研究者が個人のテーマで研究をするにあたってこの助成は研究環境を整備する上で大変助かりますし、研究テーマに対する励みなりました。アポトーシス制御の異常は癌や自己免疫疾患発症要因となります。アポトーシスが進行する過程でミトコンドリアは分裂すると同時に内部の構造をダイナミックに変化させますがその意義やメカニズムはほとんど解明されていません。本研究ではこのメカニズムを分子レベルで明らかにして、これまでにないアポトーシス制御製剤の開発基盤を得ることを目指します。今回の助成金を有効活用し、研究を発展させていきたいと思っております。
岡田 眞里子
大阪大学 蛋白質研究所
研究テーマ:細胞形態と代謝を繋ぐシグナル軸の同定
この度は、貴財団の研究助成に採択頂き、心より感謝いたします。異動による研究室の再立ち上げの大きな不安の中、選考委員の諸先生方からの温かいお言葉は大変な励みとなりました。私どもの研究室では、がんや免疫系を対象とした細胞内シグナル伝達系の実験・計算研究を行っております。細胞内の蛋白質相互作用ネットワークを数理的に解析することにより、制御機構の同定や薬剤効果予測が可能ということから、最近は多くの方々に興味を持って頂けるようになりました。本申請は、細胞接着に重要な役割を果たすアダプター蛋白質の細胞形態および代謝御機構をデータ駆動的に解き明かすことを目的としています。今後、生物学分野の知識発見において情報学的手法の利用はますます盛んになると思われます。私どもの研究がそのような研究の一助になれるよう、努力して参りたいと思います。
岡村 大治
近畿大学 農学部バイオサイエンス学科
研究テーマ:細胞系譜の二元性という幹細胞のシーソーモデル
今回は栄誉ある貴財団の研究助成に採択いただき、深く感謝申し上げます。留学から帰国して間もない時期に、挑戦的なテーマの立ち上げを力強くサポートして頂きました。また一方で、できるだけ良い研究成果に繋がる様にと身の引き締まる思いを致しております。本採択課題では、着床後のマウス胚を材料として用い、従来の定義とは異なる多能性維持機構の解明に向けて精力的に取り組んでおります。本ご支援による成果が今後の幹細胞研究の礎になるよう頑張りたいと思います。
小田 裕香子
京都大学 ウイルス・再生医科学研究所
研究テーマ:皮膚バリアシステムの自己組織化メカニズムの解明
貴財団研究助成金に採択していただき、深く感謝申し上げます。申請時は、自身の着想で始めた新たなプロジェクトが軌道に乗りつつある時期で、データが少なかったにもかかわらず、研究提案の独創性と将来性を評価していただいたことを本当に嬉しく思います。また、女性研究者を支援してくださることも魅力的で、出産・育児と重なりましたが、選考委員の先生方のコメントが励みとなりました。本課題を通じ、皮膚バリア構築機構について研究を発展させたいと考えております。貴財団のご支援を活用させていただき、全力で取り組んでいきたいと思います。
金田 勝幸
金沢大学 医薬保健研究域薬学系
研究テーマ:神経細胞選択的活動操作によるコカイン再燃機構の解明
この度は貴財団平成28年度研究助成金に採択していただき、心より御礼申し上げます。教室を立ち上げたばかりの研究者を支援して下さるという貴財団の方針は、平成27年4月より現在の研究室を主宰することとなった私の様な研究者には、非常にありがたく、貴重であると思います。採択いただいた本研究において、私は、コカインなどの依存性薬物によって活性化される神経細胞の活動を選択的に制御する手法を駆使し、依存形成機構を細胞レベルで理解することを目指します。得られる成果は、薬物依存のみならず、昨今話題となっている、ギャンブル依存などの神経メカニズムの理解、および、その治療法の開発にも繋がることが期待できます。貴財団の助成を通じて社会的問題の解決に取り組んでいきたいと思います。
上條 真
山口大学 大学院創成科学研究科
研究テーマ:3次元分子の構造展開を簡便化する新しい分子修飾法
誰にでも納得できるかたちで「新しい」を定義することは難しい。それを「評価」することはもっと難しい。最近、個人的に気になる2つのコトです。貴財団では、これらの点がそれぞれ、「アイディアと課題の先駆性」、「個人型研究を提案する(若手)研究者の応援」と明確に示されています。『支援』ではなく、あえて『応援』とされているところに、貴財団の心意気を感じます。実際、採択通知に書かれていた選考委員からの応援メッセージに、個人的には大きく励まされ自信づけられました。研究を通して自分なりの「新しい」を表現するとともに、「新しい」を見つけ出すこと・つくり出すことでその期待に応えていきたいと思います。
河原 行郎
大阪大学 大学院医学系研究科
研究テーマ:RNA代謝異常による選択的神経細胞死誘導機構の解明
この度は、貴財団の研究助成にご採択いただきまして、心より感謝申し上げます。本助成は、年齢制限もなく、独創性やチャレンジ性を特に重視した選考を行っておられるとのことで、ご採択いただけたことが何より自信に繋がりました。本助成金を活用して、多くの神経変性疾患に共通する細胞選択性の謎を解き明かしたいと考えております。その結果として、本研究の成果が、神経変性疾患の根治治療薬を生み出すきっかけになれば本望です。平成29年度に応募を検討されておられる研究者の皆様におかれましても、本助成金によって独自性溢れる研究が展開され、更に大きく飛躍されることを心より祈念しております。
金城 雄樹
国立感染症研究所 真菌部
研究テーマ:NKTfh細胞によるIgG抗体産生誘導機構の解明
この度は御財団の研究助成に採択していただき、誠にありがとうございます。選考委員の先生方には有難い評価コメントをいただき、深く感謝申し上げます。近年、研究費の獲得を含めた基礎研究者の研究環境が厳しくなる中、若手~中堅研究者の独創性・挑戦性の高い研究を支援してくださる本研究助成は大変有難いです。
当研究室では、日本人の死因で3番目に多い肺炎の制御を目指して、新規ワクチンの感染防御効果及び防御免疫誘導機構の解析を行っております。これまでの解析にて、既知の機序とは異なる抗体産生誘導を示唆する結果を得ており、本研究にてその機序の解明に取り組みます。栄誉ある本研究助成の採択を励みに、インパクトのある研究成果の発信を目指して、研究室のメンバーと共に頑張ります。
小玉 尚宏
大阪大学 大学院医学系研究科
研究テーマ:非アルコール性脂肪肝由来肝癌原因遺伝子の網羅的探索
この度は貴財団の研究助成金に採択して頂き、厚く御礼申し上げます。私は昨年6月に留学先から帰国し、臨床教室の助教として新しい研究チームを立ち上げることになりました。ただ帰国後すぐで研究費もなく、研究を一秒でも早く再開したいという焦りの最中、貴財団の助成金のことを知りました。迷わず応募させて頂きましたが、自分の研究課題がどのように評価されるのか正直非常に不安でした。そんな中、「格段に優れた研究提案」というお言葉付きで採択通知を頂いたときは、新しい研究者人生が初めてスタート出来た気持ちになったことを今でも鮮明に覚えています。私の研究内容は、CRISPR/Casやトランスポゾンといったゲノム改変/修飾ツールと動物モデルを組み合わせ、世界的に増加傾向にあるNASH由来肝癌の発癌ドライバーを網羅的に同定することです。今回の助成金を最大限活用して研究を遂行し、創薬や新規バイオマーカーの発見に繋げていきたいと思います。
小山 正平
大阪大学 大学院医学系研究科
研究テーマ:肺癌の免疫療法耐性化機序の解明と克服
この度は栄誉ある貴財団の研究助成に採択頂きまして、心より御礼申し上げます。私は、呼吸器疾患の診療に携わりながら、現状の臨床から浮かびあがる疑問点・解決すべき問題点などについて、実際に患者様から検体を集め解析するとともに、疾患モデルマウスを用いて研究しております。平成28年1月より非小細胞肺癌に対する抗PD-1抗体治療が保険適応となり、現在研究中の肺癌モデルマウスにおいて、免疫微小環境変化に基づく免疫療法の耐性化機序を理解することは、まさに臨床上の問題を解決する糸口になるのではと考えております。今後、この問題解決に挑戦すべく、貴財団の期待に応えることができるよう、研究に取り組んで参りたいと思います。
斉藤 典子
熊本大学 発生医学研究所
研究テーマ:乳がんの再発に関わる核内長鎖非コードRNAの解析
この度は栄誉ある研究助成に採択いただき、心よりお礼申し上げます。申請準備をしていた平成27年5-6月は、熊本地震後の復興作業にまい進する最中でした。日常と異なる環境でサイエンスと向き合えることは、わずかながらにも心が落ち着く、ありがたみを強く感じられる機会でした。貴財団に成果を認めていただけことは格別です。私は、細胞核内の3次元構造が遺伝子の調節を介していかに高次生命現象に関わるかという、高次エピジェネティクスの研究を進めてまいりました。乳がんの治療耐性獲得において、長鎖非コードRNAが核内でRNAクラウドを形成して遺伝子の活性化に働くことに着目し、その詳細なメカニズムを解析し、診断と治療標的を探求することを目指します。疾患細胞が治療環境下で生き延びるために遺伝子の発現プロファイルを変化させる、その背景となる普遍的真理の解明につなげ、健康な社会作りに貢献させていただきたく思います。
佐藤 明子
広島大学 大学院総合科学研究科
研究テーマ:ゴルジ層板の集合と散在の分子機構
この度は、貴財団の平成28年度研究助成金に採択して下さりありがとうございました。特に、選考委員の先生方からのコメントを送って下さった事務の方のご判断に感謝申し上げたいと思います。今回提案させていただきました研究内容は、これまで私の行ってきた研究に基づいてはおりますが、大胆な内容の仮説の検証であり、私自身は細胞生物学的に重要な研究と信じておりましたが、それに関する客観的なご意見が聞けましたことは、大変励みになりました。もちろん、申請書を審査しコメントを書いて下さった選考先生方にも、厚く御礼申し上げます。この仮説の検証は私の研究人生の中でも、最も重要なものと位置づけており、頂いた貴財団の助成金を用いて全力で取り組む所存です。今後とも宜しくお願い申し上げます。
椎名 伸之
自然科学研究機構 基礎生物学研究所
研究テーマ:mRNA輸送と学習記憶・精神神経疾患を繋ぐ分子機構
この度は、貴財団の平成28年度研究助成にご採択いただき、心より感謝申し上げます。私は、学習記憶や精神神経疾患の細胞基盤である、ニューロンのmRNA輸送と局所的翻訳制御の分子機構解明を目指して研究を行っています。mRNA輸送と局所的翻訳制御は「RNA顆粒」という非膜系の細胞内コンパートメントによって主に担われていますが、その形成・解体機構や学習記憶・疾患への関与については多くが未解明のままです。私はマウスを用いて、これらの問題の解明に取り組みたいと考えています。まだ成果の少ない未開拓の研究分野ですが、選考委員の先生方並びに貴財団に御興味をお持ちいただき御支援頂けたことは、誠に研究の助けとなり、大変励みにもなりました。貴財団助成に応えられる優れた研究成果が得られるよう、努力して参りたいと存じます。
島田 緑
名古屋市立大学 大学院医学研究科
研究テーマ:がんの病態形成に関与するChk1標的因子の解析
この度は貴財団研究助成に採択頂きましたことを、心よりお礼申し上げます。私は、平成29年4月から山口大学共同獣医学部に着任することになりました。研究室の立ち上げには機器など様々なものを購入する必要があり、このような中、使用用途に大きな規制がない貴財団の助成は大変有難いです。私はこれまでのゲノム安定性維持機構の研究をさらに発展させ、がんや遺伝子疾患に対する新たな治療法、予防法の確立に貢献したいと思います。研究課題を採択していただけたことを励みに、より一層努力したいと思います。
清水 洋平
東京大学 大学院薬学系研究科
研究テーマ:化学選択的カルボン酸α位修飾反応の開発
この度は貴財団の研究助成に採択いただき、心より御礼申し上げます。本研究課題のターゲットであるカルボン酸の化学選択的変換は、昨年度その基礎となる触媒系を報告できたものの、その後の研究費獲得に苦心しておりました。貴財団のご支援の下、我々の触媒系をさらに発展させるチャンスをいただきましたこと、大変光栄に存じます。生物活性物質に遍在するカルボン酸の選択的修飾反応を実現し、創薬研究の発展に寄与すべく研究に邁進いたします。
清水 律子
東北大学 大学院医学系研究科
研究テーマ:異所性エリスロポエチン誘導剤の開発
多数の応募の中より本テーマをご採択いただき、大変光栄に存じます。また、選考過程において多くの時間と労力を費やしていただいたことに、選考委員の先生方、また関係者の皆様方に重ねて御礼を申し上げます。私は、いままで、転写因子による造血機構解明に取り組んで参りましたが、その過程で見いだした異所性エリスロポエチン発現制御機構に深い関心を持ち、創薬研究を創起しました。本研究は、私にとって非常にチャレンジングな試みなので、本テーマに取り組める機会をいただいたことは大変ありがたく、また、自信につながりました。本助成を有意義に使用させていただき、ご期待にお答できるよう、よりよい成果を目指して研究に邁進する所存です。今後ともご支援よろしくお願いいたします。
大学 保一
東北大学 学際科学フロンティア研究所
研究テーマ:DNA複製機構の破綻によるゲノム不安定性とがん化
この度を貴財団の研究助成に採択頂き、大変感謝致します。現在、私は独立した研究者に成り2年目であり、芽が出てき研究テーマを軌道に乗せようとしている時期に採択して頂いた事は、大きな励みとなりました。がんなどの様々な疾病の原因となる突然変異が生成される機構を明らかにすることを目標として、研究を行っています。まだまだ基礎研究の段階ではありますが、本助成研究を礎として、「知の創出」と「医学の進歩」の両者に貢献する研究へと発展させること目指します。
高島 康弘
京都大学 iPS細胞研究所
研究テーマ:ナイーブ型ヒトiPS細胞を用いた分化誘導法の開発
この度は、伝統ある貴財団の平成28年度研究助成に採択いただき、心より御礼申し上げます。私は8年にわたる英国での研究後、2015年帰国し、研究室を立ち上げたところです。貴財団の研究助成の趣旨の中にある、「教室を立ち上げたばかりの研究者」、「留学から戻られたばかりの研究者」を応援するというメッセージは大変心強く、ありがたく思います。私は、今まで研究してきたナイーブ型iPS細胞の知見を利用し、ヒトを含む霊長類の初期発生と多能性幹細胞に焦点を当て、研究を進めております。ナイーブ型iPS細胞という次世代型のiPS細胞をご評価いただいたことは、私の研究の励みになります。本助成によるご支援を活用し、医学、生命科学の分野における重要な成果として還元できるよう、日々精進してまいります。
滝澤 仁
熊本大学 国際先端医学研究機構
研究テーマ:慢性腸炎に起因した造血変容機序の理解と制御法の確立
この度、貴財団の栄誉ある平成28年度研究助成に採択頂きまして、大変光栄に存じます。基礎生命現象から臨床に至る幅広い分野において、画期的または芽生え期にある研究課題の一つとして本研究が採択されたこと大変光栄に存じます。本研究では、細菌感染により変容する造血機能を明らかにした最新知見をさらに発展させ、内在性に存在する腸内細菌叢に注目し、造血に対する影響を明らかにすることを目指しております。将来的には、肥満や老化などその他の慢性炎症メカニズムの解明に向けて発展させることで、超高齢化を迎える今後の日本の医療に貢献できればと考えております。また、昨年被災した熊本から活発な研究成果を示すことで、貴財団も含め多大なるサポートをいただきました皆様に恩返しをできるよう努力してまいります。
田中 由佳里
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
研究テーマ:過敏性腸症候群症状出現メカニズムの多層関連解析
この度は貴財団の研究助成金に採択して頂き、心より御礼申し上げます。消化器内科医として臨床の最前線で働く中、一般的な検査で異常がない繰り返す腹痛、排便異常の患者を沢山診てきました。この中には多くの過敏性腸症候群患者が含まれており、適切な診断・治療が受けられないと、時に人生を左右してしまう疾患でもあります。局所脳活動や神経内分泌の影響なども病態に複雑に絡んでおり、多層的な解析を用いて研究を行っております。子育てとの両立で研究遂行に躊躇していた時期もありましたが、格段に優れた研究提案との評価を頂き、突き進む勇気を頂きました。今回の助成金を有効活用して、多くの患者に寄与する研究を進めていきたく精進してまいります。
照沼 美穂
新潟大学 大学院医歯学総合研究科
研究テーマ:脳内アンモニア代謝に関わる新規分子の研究
この度は、伝統ある貴財団の研究助成に採択していただき、心より感謝申し上げます。私は8年間のアメリカでの研究生活と3年間のイギリスでの研究室運営を経て、平成28年8月に新潟大学に着任しました。現在、新たなスタッフとともに研究室を整備し、研究を開始しているところです。海外から帰国して研究室を立ち上げる研究者は応募できる助成金が非常に限られていることから、着任前にもかかわらず応募可能であった貴財団は、私にとって大変ありがたいものでした。ご支援を最大限に生かせるよう、研究室のメンバーとともに日々精進して参ります。
内藤 尚道
大阪大学 微生物病研究所
研究テーマ:腫瘍血管内皮アポトーシス制御による治療法の開発
この度は平成28年度研究助成金に採択頂き、心より御礼申し上げます。私は血管内皮細胞の恒常性の維持機構と多様性に着目して研究を行っております。血管内皮細胞は血管障害、癌、炎症性疾患など様々な病態に深く関与していることが知られています。しかし血管内皮細胞がどのように恒常性が維持され、病態により変化しているか、詳細なメカニズムは明らかになっていません。今回採用して頂いたテーマは、血管内皮細胞の恒常性維持機構を用いて腫瘍血管内皮細胞の細胞死の誘導することにより血管新生を阻害するもので、既存の血管制御療法とは全く異なる手法の開発を目指すものです。そのため多くの課題がありますが、選考委員の先生方から、 研究を評価して下さるコメントを頂き、大変励みとなりました。本研究を通じて血管内皮の関与する疾患の病態メカニズムの解明や治療法の開発に役立てることができるよう、一層精進して参りたいと思います。
永井 拓
名古屋大学 医学部附属病院
研究テーマ:神経恒常性維持機構の解明と創薬研究への応用
この度は、アステラス病態代謝研究会の支援を賜り厚く御礼申し上げます。私は以前にも本研究助成に応募させていただきましたが、残念ながら不採択でした。その時に審査員の先生から頂いた貴重なコメントに励まされて、再挑戦したことが本年度の結果に結びついたと思います。競争的資金の獲得は年々厳しくなっていますが、諦めずに挑戦し続けることが大切であると改めて感じました。また、交付を受けることによって自分が取り組んでいる研究が評価されたという喜びと研究者としての自信を得ることができました。今後は研究助成金を本研究に有効活用し、神経恒常性維持機構の分子基盤を明らかにするとともに創薬研究に繋げることで成果を社会に還元していきたいと思います。
中嶋 悠一朗
東北大学 学際科学フロンティア研究所
研究テーマ:腫瘍抑制因子による細胞分裂方向の制御メカニズム
この度は貴財団の平成28年度研究助成に採択いただき、心より御礼申し上げます。私は2016年4月にアメリカから帰国し、新しいポジションで新しい研究チームをスタートしたところです。そのため、研究の立ち上げに際して本研究助成は研究環境の整備や実際に研究を遂行する上で大きな支援となります。また、選考委員の先生からのコメントや評価も大変励みになりました。私はがん抑制遺伝子が上皮組織における細胞分裂方向を制御していることを見出しており、本研究計画では、その詳細な分子メカニズムを解明するとともに、腫瘍形成における細胞分裂方向の関与を明らかにしたいと考えております。本助成金を最大限に活用し、生命科学や基礎医学の発展に貢献できるような研究成果を発信できるよう精進して参ります。
中村 貴志
筑波大学 数理物質系化学域
研究テーマ:エイコサノイドの一段階変換を実現する超分子金属触媒
この度は、貴財団の平成28年度研究助成に採択いただき、深く感謝申し上げます。私は超分子化学を専門とし、有機配位子と金属から作られる自己集合錯体の構築と、その内部空間における分子認識などの機能開拓の研究を行って参りました。本申請テーマは、サイズと形状の定まった超分子の内部空間を人工の反応場として生かして、官能基の位置選択的な変換反応を目指すものです。異分野からの私の提案をお認めくださり、身の引き締まる思いです。チャレンジングな課題ですが、生理活性物質を新しいアプローチで合成する手法として、少しでも創薬・医療の分野に貢献できるよう、貴財団のご支援を活用して、テーマの実現に全力を尽くす所存です。
中山 和久
京都大学 大学院薬学研究科
研究テーマ:繊毛内タンパク質輸送の破綻による繊毛病発症の基盤
この度は平成28年度の貴財団の研究助成金にご採択していただきまして、誠にありがとうございます。病態代謝研究会の研究助成金にはこれまで何度か応募させていただきましたが、ことごとく不採択でした。研究の内容があまりにも基礎に偏り過ぎていたせいもあるかと思います。この度ご採択いただきました課題は、私たちが長年研究対象としている細胞内のタンパク質輸送の研究を、繊毛病という病態の分子基盤の解明につなげるものです。最近、新しい研究手法をいくつか開発して、これまでに培ってきた生化学的な手法や細胞生物学的な手法と合わせて、繊毛病の原因遺伝子がコードするタンパク質の機能を次々に明らかにしつつあります。貴財団にご採択いただきました期待に必ずや沿えると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
西山 功一
熊本大学 国際先端医学研究機構
研究テーマ:内腔圧スイッチングによる血管新生の制御機構
この度、貴財団の栄誉ある平成28年度研究助成に採択頂き大変光栄に存じます。また、昨年春に被災した熊本地震による影響を取り戻すべく邁進している中、貴財団より勇気や希望を頂きましたこと感謝の念に堪えません。幸いなことに、今回二度目の助成をいただくことができましたが、本研究では血管新生を制御するメカノバイオロジー機構を、学際的なアプローチで明らかにすることを目標としています。本研究において、力学刺激が受容され実際の生命現象の制御シグナルへと具現化されていくしくみを探究、理解していくことを通して、医療のみならず一般社会にも広く貢献するような研究へと発展させていけるよう今後も努力を惜しまない所存です。
野島 聡
大阪大学 大学院医学系研究科
研究テーマ:三次元イメージング技術を用いた新規病理診断法の開発
この度は、栄誉ある貴財団の研究助成金に採択いただきまして、誠にありがとうございました。私は基礎医学領域の分子生物学的手技を臨床病理診断技術へと応用し、実際の診断の現場に役に立てるべく研究を行っております。現在は、近年、目覚ましい発展を遂げている組織透明化および三次元的イメージング技術を病理診断へと応用し、三次元的評価に基づくまったく新しい基盤的な病理診断技術を開発すべく、日々研究に励んでおります。まだ具体的な成果のない状況にも関わらず、このような貴重な助成金をいただけますことは、何よりの励みになります。実際の医療の現場にフィードバックでき、患者さんの力になれるような大きな成果が報告できるよう、邁進して参ります。
長谷川 純崇
量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所
研究テーマ:転移胃がんに対するアルファ線放射免疫療法開発
この度は貴財団研究助成に採択頂き、心より御礼申し上げます。これまで多くの研究者を支えてきた伝統ある貴財団の研究助成を受けることとなり、身が引き締まる思いです。現在、我々のチームでは、高い細胞殺傷能力を持つ粒子放射線‐アルファ線‐を標的となるがん細胞に特異的に送達して、がん細胞を焼灼する試みを行っております。アルファ線を放出するアイソトープの製造施設は世界的に見ても限られております。我々は、アイソトープ製造から放射性薬剤の合成、さらに、モデル動物での薬効評価や実験治療をシームレスに行える国内有数の施設である利点を生かし、アルファ線を用いた標的アイソトープ治療が、近い将来、がんで苦しむ方々の福音になることを目指して日夜研究に励んでおります。本研究助成のご支援を頂きながら、がん治療に大きく貢献しうる薬剤開発を行っていきます。
原田 成美
東北大学病院
研究テーマ:乳癌代謝調節機序の解明と新規画像診断への応用
この度は、栄誉ある貴財団の助成金に採択していいただき、心より感謝申し上げます。
本助成金の募集要項には「女性研究者からの積極的な応募」とあり、また申請者の状況を記す欄では「出産/育児から復帰」、「子育てと研究の両立」なども記載可能であり、研究者の様々な状況を加味していただける門戸の広さが励みになる一方で、競争率の高さに不安にもなりました。留学先で携わった代謝の基礎研究を、今度は臨床医の立場からイメージングに応用できないかと始めたばかりのプロジェクトでありますが、本研究を評価していただいたことで自信へとつながり、円滑な研究の遂行が可能となります。優れた研究成果をあげられるよう、邁進してまいりたいと思います。
原田 陽介
東京理科大学 薬学部
研究テーマ:濾胞性ヘルパーT細胞の制御機構の解明
この度は貴財団の研究助成に採択していただき、心より御礼申し上げます。平成27年度より研究室を主宰することとなりましたが、研究室のセットアップや新たな実験システムの構築など、今回の研究助成を大いに活用させて頂きたいと思っております。私は新しいヘルパーT細胞のサブセットである濾胞性ヘルパーT細胞の研究に携わっていますが、新たな解析ツールを開発することで当該分野の発展に貢献したいと考えております。まだ小さな研究室ですが、素晴らしい研究成果を世界に発信できるように学生とともに努力していきたいと思います。
平島 正則
神戸大学 大学院医学研究科
研究テーマ:リンパ管と血管の分離を保障する血小板の作用機序
この度は平成28年度研究助成に採択していただき、心より御礼申し上げます。貴財団の研究助成では、申請時に研究提案および自身の状況についてアピールする機会が与えられ、研究の独創性のみならず研究者がおかれている立場からも助成の必要性をご勘案くださり大変ありがたく存じます。採択通知時には選考委員の先生方から期待のこもったコメントをいただき、とても励みになっています。私はリンパ管発生の分子機構とその破綻で生じる病態について研究しています。本研究テーマは脈管学と血液学の接点にあり、研究室を主宰するにあたって新しく取り組み始めたものです。本研究助成による支援を糧にして、研究の継続と発展そして社会貢献のために日々精進する所存です。
福原 茂朋
日本医科大学 先端医学研究所
研究テーマ:生理的・病的血管新生の生体イメージング
この度は、貴財団の研究助成金に採択頂き、諸先生方、関係各位に心より感謝申し上げます。私は、平成28年4月1日より日本医科大学先端医学研究所に着任し、ようやく研究ができる環境が整ってきたところです。そんな中、選考委員の先生からの温かいコメントとともに、研究助成のご支援を頂き、これから新天地での研究をスタートさせる私たちにとって、大きな励みと自信になっております。私どもの研究テーマは、蛍光イメージング技術を駆使して、生体内で起こる血管新生を実際に目で見て観察し、その制御機構を明らかにすることです。本研究助成をもとに、独自の研究を推し進め、研究室メンバーとともに本研究を発展させて参ります。今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い致します。
藤井 哉
東京大学 大学院医学系研究科
研究テーマ:光計測と光操作による脳内生化学シグナルの解明
この度は平成28年度の貴財団研究助成金に御採択していただき、深く感謝申し上げます。私はこれまで、「百聞は一見にしかず」を念頭に、生化学シグナルを神経細胞・シナプスで直接的に可視化・イメージングすることで神経機能を理解するというアプローチに全力を注いでまいりました。 この中で、現在はまだ十分に行われていない脳内での生化学シグナルの光計測と光操作の必要性を痛感し、この大変チャレンジングな研究テーマを応募させていただいたところ、幸いにも挑戦させていただく機会をいただき、大変有難く感じております。本研究助成を活用させていただき、より一層学術研究に励んでいきたいと思います。
文東 美紀
熊本大学 大学院生命科学研究部
研究テーマ:精神疾患患者ゲノムにおけるL1新規挿入部位の決定
この度は貴財団の平成28年度研究助成金に採択していただき、心より感謝申し上げます。私たちの研究室は平成28年2月に立ち上げを開始しましたが、その直後の4月に熊本地震に見舞われたため、一時期研究活動が滞ってしまっておりました。その折に本助成金に応募させていただいた結果、研究計画を高く評価していただき、採択されたことは研究遂行への助けとなり、また精神的にも大きな励みとなりました。いただいた助成金は研究室整備および精神疾患の病因解明研究のために、有効に活用させていただこうと思います。
堀 昌平
東京大学 大学院薬学系研究科
研究テーマ:制御性T細胞による免疫制御機構の解明
この度は貴財団の平成28年度研究助成に採択していただき、心より御礼申し上げます。私は平成28年10月に現所属に着任し、新しい研究室を立ち上げようとしているところですので、今回のご支援は大きな励みになります。私は、自己免疫寛容と免疫恒常性維持に必須の役割を担う制御性T細胞(Treg)とその"マスター転写因子"Foxp3の研究を進めて参りました。Tregは様々な疾患に関わることから医学的、薬学的にも大きな注目と期待を集めていますが、まだまだ多くの本質的な謎が残されております。基礎研究に軸足を置きながらも、社会への貢献も夢見て独創的で根源的な研究をスタッフ、学生さんたちと腰を落ち着けて展開してゆければと考えております。
松尾 由理
北陸大学 薬学部
研究テーマ:ストレスによる精神障害における脳炎症の関与
この度は、貴財団の研究助成にご採択いただき、心より感謝申し上げます。この4月に東京から北陸へ移り、慣れない地で研究室を一から立ち上げることの大変さに、大きな戸惑いと焦りを感じていました。そのような中、貴財団からの採択のご連絡は、一つの光が射したように本当に大きな励みとなり、また同時に、身の引き締まる思いがしました。これまで私は、脳梗塞やパーキンソン病モデル動物での病態悪化機序について、脳炎症に焦点を当てて研究を行ってきました。今後はさらに、ストレスによる精神疾患モデル動物において、脳機能障害と脳炎症の関係を解明していきたいと思います。大学での脳の基礎研究を医療に結びつけることは難しいとは思いますが、常に臨床を意識して研究を行い、各種脳病態の新規治療薬開発の一助になるよう、この採択を励みに新たな研究室にてより一層努力していく所存です。
松永 茂樹
北海道大学 大学院薬学研究院
研究テーマ:独自触媒を駆使する核酸誘導体への官能基導入法の開拓
この度は貴財団の研究助成に採択いただき、心より感謝申しあげます。北海道大学大学院薬学研究院にて研究室を立ち上げ始めて2年目の段階で、研究を行うために優先度の高い設備、器具から少しずつ揃えていっている段階です。まだまだ足りないものばかりの状況であり、日々、苦労が絶えません。このような中、貴財団からのご支援をいただけたことで本当に助かっております。 本提案では、独自触媒を駆使することで、生物活性化合物へ合成終盤において様々な官能基を自由自在に導入する手法の開拓に取組みます。まずは本プロジェクトの第一歩として、核酸誘導体へのトリフルオロメチルチオ基の導入に関して検討を精力的に進めております。研究室の若いメンバー達と切磋琢磨しながら、世界の最先端で勝負できる研究グループへと発展させていきたいと考えています。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い致します。
松村 欣宏
東京大学 先端科学技術研究センター
研究テーマ:エピゲノム編集による脂肪蓄積の制御に関する研究
この度は貴財団、平成28年度研究助成金に採択頂き、深く感謝申し上げます。これまで私はメタボリックシンドロームの発症に密接に関わる脂肪細胞の研究に携わり、後天的ゲノム修飾であるエピゲノムによって脂肪細胞の運命と機能が制御されるメカニズムを明らかにしてまいりました。今回、ゲノム編集技術を応用したエピゲノム編集により、脂肪細胞の脂肪蓄積の制御を目指す研究提案について高いご評価を頂きましたこと、大変ありがたく、大きな励みになります。本研究助成のご支援のもと、脂肪を蓄えやすい、燃焼しにくいといった体質を改善し、メタボリックシンドロームの予防・治療への足がかりとなる研究成果を得られるよう、精進していきたいと思います。
松本 有
東京大学 医学部附属病院
研究テーマ:高分子DDSを腫瘍深部へ送達する新規血管透過経路
この度は平成28年度アステラス病態代謝研究会の研究助成に採択頂き深く御礼申し上げます。今年3月末に教授が定年退職されたため研究室は分割となり、さらに6月にキャンパス建物の移転もありました。研究員再編成、研究設備や試薬の移動・整理などで資金繰りが苦しい状況でありましたので、本助成の貴重なご支援は大きな励みとなりました。 生体顕微鏡を用いた高分子ナノDDSの腫瘍内動態評価の過程で、血管内皮が一時的に破綻し水道管破裂のような噴出が起こる、過去に報告されていない現象を発見しました。私はこれをnano eruptionと命名し解析を進めています。本研究ではnano eruptionのメカニズムを解明しこれを誘発・抑制し、高分子ナノDDSを効率よく腫瘍深部まで送達する新たな治療戦略の構築を目的としています。頂きました助成を最大限有効に活用させていただき、人の健康に貢献できるよう、研究に精進して参りたいと思います。
三枝 理博
金沢大学 医薬保健研究域医学系
研究テーマ:睡眠障害ナルコレプシーを抑制する神経回路の解明
この度は貴財団の平成28年度研究助成に採択頂き、心より御礼申し上げます。私はこれまで、睡眠・覚醒や概日リズムを制御する神経メカニズムについて、遺伝子改変マウスを用いて研究してきました。本年度は、主任研究者としてラボをセットアップする必要があり、ご支援を大変感謝しております。本研究では、ナルコレプシーを抑制する神経回路を明らかにすることで、睡眠・覚醒調節メカニズムの理解を深め、さらには新たな創薬標的分子・細胞の同定に繋げたいと考えています。貴財団の研究助成対象課題に相応しい研究を展開するよう精一杯努力いたします。
宮成 悠介
自然科学研究機構 岡崎統合バイオサイエンスセンター
研究テーマ:クロマチン高次構造を制御する因子の同定
この度は、公益財団法人アステラス病態代謝研究会の平成28年度研究助成金に採択して下さり、大変ありがとうございます。我々は、核内における遺伝子制御がどのように細胞の運命決定に関与しているかを明らかにしたいと考えています。特に、「クロマチンの構造」に着目し、その構造が核内の3次元空間内でどのように制御され、その構造変化がどのように遺伝子発現に影響をあたえるのかを研究しています。今回の助成金は、クロマチン構造の制御因子をスクリーニングするプロジェクトに使用させていただきます。
森 啓二
東京農工大学 大学院応用化学部門
研究テーマ:酸化還元を介する環境調和型分子変換法の開発
この度は平成28年度の研究助成金に採択していただき、誠にありがとうございます。伝統ある貴財団に採択されたことは研究者として大きな誇りであります。一昨年の4月より研究室を主宰したばかりで、いまだ研究環境が十分に整っていない状況の中、本助成のような自由度の高い研究費をいただけることを大変ありがたく思っております。本助成金のご支援のもと、近年独自に開発した分子内での酸化還元を介する炭素-水素結合変換型環化反応を駆使した反応開発に取り組みます。特に本研究テーマ開始当初からの小職の夢であった二重炭素-水素結合官能基化による様々な多環性骨格の単段階合成法を開発し、創薬化学の発展への貢献を目指します。また、本研究を通じて、創薬分野で活躍できる人材育成にも精力的に取り組む所存です。


2016年度海外留学補助金受領者(敬称略・五十音順)
藍川志津
留学直前の日本での所属先:東北大学 大学院薬学研究科 分子細胞生化学分野
留学先:シンシナティ小児病院医療センター 生殖科学部門
研究テーマ:着床期子宮におけるCOX-PGの時空間的解析
この度は、貴財団海外留学補助金に採択していただき心より感謝申し上げます。応募当時まだ博士課程の学生で大きな業績もない状況にあったのにもかかわらず、研究計画等様々な点から評価していただき、自分のような若輩者にとっては本当に有難いことでした。留学先では受精卵着床の研究を行う予定です。面接の際に選考委員の先生方から頂戴した温かいお言葉を胸に、この留学生活を通してより一層成長し、日本の研究だけでなく、不妊という社会問題に対し貢献できる人間になれるよう精進してまいります。
宇治彰人
留学直前の日本での所属先:京都大学 大学院医学研究科 眼科学
留学先:カリフォルニア大学ロサンゼルス校 ドヘニー眼研究所
研究テーマ:高解像度3次元血流イメージング法の開発
この度は貴財団の海外留学助成に採択いただき、心より御礼申し上げます。私は眼底イメージング法の開発や画像解析をテーマに研究を続けてきましたが、この分野はめざましく発展し続けており、どうしても研究の中心にいて、その最前線を見て、彼らともに走りたいという一心でこのロサンゼルスの研究室に飛び込んできました。毎日が忙しいですが、短期間でも多くを経験して1段も2段も上のレベルにこられたと実感できますし、必ず帰国後は日本の研究の発展に貢献し、必ず日本の眼科診療をより質の高いものにできると確信できています。研究助成を賜り、経済面の不安が解消でき、研究にますます取り組んでいけるのは本当にありがたく思います。また、2次選考においては、各分野の先生方から勇気づけられるコメントをいただけただけではなく、研究のさらなる発展につながるような貴重なアドバイスまで賜り、この場をかりて感謝申し上げたいと存じます。今後も、貴財団の留学助成に採択されことに相応しい研究成果をあげられるよう精進して参りたいと思います。
齊藤真理恵
留学直前の日本での所属先:東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻
留学先:ニューヨーク州立大学 生物科学
研究テーマ:解毒代謝遺伝子の全ゲノム解析でみる人類の適応進化
このたびは採択していただきありがとうございます。私はゲノム情報学の手法を用いて進化医学的研究を行っているのですが、選考委員の先生から、匿名で心強い審査コメントを頂きまして大変励みになりました。選考においては、現時点での業績だけでなく研究計画や留学目的にも重きが置かれるとのことで応募をためらっている方にはぜひトライしてみることをお勧めいたします。
留学先の米国では日本と比べ女性研究者がたくさん活躍している印象があります。これからは、いただいたフェローシップを活かし、新たな環境に飛び込んで多様な人々とかかわっていくことで研究者としての能力を高め、人類の知に貢献していきたいと考えております。多くの女性研究者が海外で柔軟な価値観を身に着けることで、日本における研究環境もよりオープンになっていくことを願っております。
鈴木伸三
留学直前の日本での所属先:朝日生命成人病研究所 消化器内科
留学先:アデレード大学 南オーストラリア医学研究所
研究テーマ:上皮間葉共培養オルガノイドの癌治療への臨床応用
この度は、貴財団の海外留学補助金に採択いただき、誠にありがとうございます。私は、これまでピロリ菌による胃炎症発がんメカニズムに関わる基礎研究に従事すると同時に消化器内科医としても研鑚を積んでまいりました。また、兼ねてより基礎研究と臨床を直接つなぐような研究を遂行できればと願っておりました。好運にも留学先では、実際の癌患者をモニターしつつ実験室にて、新規の培養技術の開発などを通して、患者が最適の抗癌剤を選択できるようにする。という、私がまさに基礎と臨床が直接つながった研究に従事する機会を得ることができました。審査に際しては、留学先PIと話し合いを繰り返し計画に盛り込んだ、新規の培養技術を開発するという点を高く評価頂けたとのことで、大変励みになりました。最後になりましたが審査して頂いた先生方、採択後もビザ取得等に御助力頂きました関係者の皆様、事務局の皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
鈴木 啓道
留学直前の日本での所属先:京都大学 大学院医学系研究科 腫瘍生物学講座
留学先:トロント小児病院
研究テーマ:全ゲノムシークエンスを用いた髄芽腫の病態解明
この度は貴財団の留学補助金にご採択いただき誠にありがとうございます。私は留学が決まってから渡航までの期間が短く、留学後に海外から申請を行いました。日本でも海外でも同様ですが、ポスドクが助成金を取得するとボスからの評価が上がり研究が行いやすくなります。Web面接ではインターネットを使用し海外にいながら行うことができるため、非常に便利であるとともに、審査員の先生方から留学と将来に対する具体的なアドバイスをいただけました。これまでたくさんの研究者を指導され、留学経験もある先生方からこのようなご助言いただいたことは初めてであり、とても貴重な時間となりました。日本では次世代シークエンサーを用いた癌ゲノム解析に従事してきました。この経験を海外でも生かし、髄芽腫の病態解明に取り組んでいきたいと思います。
高屋潤一郎
留学直前の日本での所属先:京都大学 物質-細胞統合システム拠点 ケミカルバイオロジー分野
留学先:スクリプス研究所 化学生理学部門
研究テーマ:免疫抑制剤DMFの標的に対する選択的プローブの開発
この度は、貴アステラス病態代謝研究会の海外留学補助金に採択いただき、誠にありがとうございます。多数の優れた公募の中から採択されたこと、大変名誉に感じております。私は、この4月よりThe Scripps Research InstituteのCravatt lab.へと留学いたします。Cravatt教授のグループはケミカルプロテオミクスの分野において、世界トップクラスの業績を有する研究室であり、この留学は私にとってはこれ以上ない学びの機会となると確信しております。今回留学の目途が立ったのも、こうして金銭的なサポートを頂いたおかげです。この機会を最大限生かし、将来新たな研究領域を切り開けるよう、そして願わくば、広く社会の皆様に役立つ研究によってご恩返しできるよう、鋭意努力する所存です。
藤川理沙子
留学直前の日本での所属先:京都大学 大学院医学研究科 臨床創成医学分野
留学先:シックキッズ病院 神経・精神科
研究テーマ:心的外傷後ストレス障害PTSDの治療法探索
貴財団の海外留学補助金に採択頂きましたこと、心よりお礼申し上げます。私は博士課程在学中の応募で業績が少なく、さらにこれまでの研究とは異なる新しい分野に挑戦するので不安がありましたが、「独創性が高い研究や女性研究者を支援する」との貴財団の方針に背中を押され応募させて頂きました。過去の業績だけでなくこれからの研究の面白さを評価して頂けたこと、面接で選考委員の先生からご意見を頂けたことが非常に励みになりました。海外で様々な国出身の研究者と交流しながら多くのことを学び、良い研究ができるよう頑張って参ります。
特に女性はライフイベントの選択に苦悩することが多く、留学に悩む研究者も多いと考えられますが、一度きりの人生ですので、後悔のない選択をして頂きたいと思います。是非世界に出て、多様な価値観の中で自分自身に挑戦してみてください。成果の如何に関わらず自分の糧になる何かをきっと得ることになるでしょうから。
水野裕也
留学直前の日本での所属先:慶應義塾大学 大学院医学研究科 精神・神経科学教室
留学先:キングス・カレッジ・ロンドン 精神医学研究所
研究テーマ:精神病発症とミクログリア活性化の関係:PET研究
この度は、貴財団の海外留学補助金に採択いただき誠にありがとうございます。特に、二次選考において選考委員の先生方から激励のお言葉をいただき、深く感謝しております。私は精神科医として、統合失調症の薬物療法やレジリエンスに関する研究に取り組んできましたが、病態の解明や新規治療薬の開発に貢献できる研究者になりたいと考え、留学を決意しました。現在はキングス・カレッジ・ロンドンにて、統合失調症患者における脳内炎症をテーマとした画像研究に従事しています。渡英から一年が経過し、異国で生活基盤を確立することの大変さを実感してきましたが、日本では出来ない研究に取り組めることを日々幸せに感じています。これから海外留学に行かれる方には、「自分が何者で、どういう強みがあるのか」、「留学中にこれだけは明らかにしたいということは何か」、「留学先のラボに貢献できることは何か」といった点について考え抜くことをお勧めします。
道川千絵子
留学直前の日本での所属先:東京医科歯科大学 大学院顎顔面外科学分野
留学先:MDアンダーソンがんセンター 頭頸部外科
研究テーマ:口腔癌リンパ節転移巣における被膜外浸潤の多角的検討
学生時代から「仕事を通して口腔癌患者に貢献したい」という人生目標を抱いてきました。特に、口腔癌頸部リンパ節転移巣における"被膜外浸潤"という術後治療立案のための臨床マーカーに着目し、世界標準を思い描いて細々ながらも研究を続ける中、大学院時代より研究の土台にしてきた先生と学会を通じてご縁をいただくことができました。
夢や目標に対して、誠実に本気で向き合い、決してあきらめずに勇気をもって一歩踏み出せば、様々な方が背中を押して下さることを実感しています。研究内容のみならず、ただただ貢献したいという私の"意欲"を評価してくださった貴研究会に心から感謝申し上げます。
「言葉の壁」「文化の違い」に適応し、研究以前の生活基盤を作るステップに未熟な私は日々疲弊していますが、こつこつと努力し続けていきたいと思います。日本女性の持つ繊細さ、思慮深さや、粘り強さ、真面目さといった特徴は、世界の研究に十分貢献できると信じています。
山口繭美
留学直前の日本での所属先:北海道大学 大学院生命科学院 創薬化学研究教育センター
留学先:スクリプス研究所 化学部門
研究テーマ:インドールアルカロイド アライオスアミン類の全合成
この度は、多数の応募者の中から海外留学補助金に採択いただきましたことを心より御礼申し上げます。学位取得直後に留学を計画している私には、これまでの研究業績のみならず、留学先での研究計画や留学が終了した後の研究者としてのビジョンを評価していただけたことは非常に有難く、深く感謝しております。これまで創薬研究に取り組んできた私にとって、極めて複雑な天然物の全合成研究は大きな挑戦の一つであり、今回の留学は化学者として成長する良い機会と考えております。新たな研究環境へ順応できるか不安に思うことはありますが、選考の際にかけていただいた暖かい励ましの言葉や、これまでの研究生活で培ってきたものを糧に日々研究に邁進し、今後の有機化学、創薬化学に少しでも貢献できるよう努めていきたいと思っております。