2011年度

受領者からのメッセージ

2011年度受領者からのメッセージ

2011年度研究助成金受領者(所属は交付時。敬称略・五十音順)

魏 范研
熊本大学大学院 生命科学研究部 分子生理学分野

この度、平成23年度研究助成金に採択されましたこと、深く感謝しております。私たちの研究は、2型糖尿病の分子メカニズムの解明及び新規治療法の開発を目指しています。本研究が厳しい選考過程で評価されました結果、貴財団からの支援を頂きましたことは、これまでの研究成果に対してより一層自信を持ち、大きな励みになりました。また、柔軟的な使用が可能な本助成金は、研究活動に大きなサポートとなりしました。今後は、本研究助成の趣旨にもありますように、独創性、先駆性の高い研究にこだわり、より一層研究に精進し、2型糖尿病の原因解明及び画期的な治療法開発を目指したいと思っております。

北川 大樹
国立遺伝学研究所 新分野創造センター 中心体生物学研究室

この度の貴財団の研究助成に深く感謝申し上げます。伝統ある研究助成に採択されて身の引き締まる思いをするとともに、研究発表会などで他受賞者との交流から色々刺激を受けられそうで今から楽しみにしております。長年に渡る留学から帰国し、昨年から独立した研究室を主宰する機会をいただきました。現在、細胞小器官である中心体の複製、機能、動態に焦点をあてた研究を展開しています。これまで研究だけに没頭してきたつけで、現在は未だ研究室運営、研究費獲得に関して勉強中といわざるを得ませんが、今回競争率の高い貴財団の研究助成に採択されたことは非常に大きな励みになっています。このチャンスを生かし、攻めの姿勢を忘れずに今後も精進していきたいと考えています。

日下部 りえ
神戸大学大学院 理学研究科 生物学専攻

このたびは平成23年度助成金に採択いただき、大変光栄に存じます。私の研究テーマでは、筋肉という、動物のからだに極めて特徴的な器官が作り出される過程を、遺伝子レベルで解明しようと取組んでいます。モデル動物として主にメダカを使い、卵を産ませて実験的なアプローチを試みます。そこでまず必要になるのは、実験資材や研究補助員の雇用などの資金であり、このように幅広い研究者に開かれたグラントは大変貴重なものです。
これまで不安定な任期付の職務形態ながらも、一貫した研究テーマを続けることを目指してきました。大学や家庭での周囲の人々の激励に加え、このようなグラントによる評価は大きく背中を押してくれ、日々の原動力にもなります。研究を今後さらに発展させて行かなければと決意しております。

倉田 祥一郎
東北大学大学院 薬学研究科 生命機能解析学分野

このたびは、伝統ある貴財団の研究助成を頂きまして心より感謝しております。ご存じのように、東北大学は3月11日の地震で大きな被害を受けました。私たちの研究室も、建物の最上階に位置していたこともあり、多くの装置が実験台より落下する等の被害を受けました。4日間の停電、19日間の断水、5週間のガスの不通がありましたが、ガスの供給再開よりも早く、4月14日には、貴財団より「東日本大震災緊急研究助成金」の連絡を頂きました。さらに翌月には、本研究助成の募集案内も頂きました。研究再開の目処すらつかない中での、このようなご支援は、本当にありがたく、研究再開への希望を持つことが出来ました。貴財団の研究者の立場に立った研究支援に心からお礼申し上げます。

栗山 正
秋田大学大学院 医学研究科 分子生化学講座

この度、貴財団の平成24年度研究助成を賜り感謝しますと共に大変うれしく感じております。我々の研究室は腫瘍制御に係る分子標的創薬を目標にしておりますが、自身の背景はツメガエルを使った発生生物学にあります。研究を始めてまもなく神経堤細胞の研究に出会い、分化・細胞移動など様々な視点で研究を重ねてきました。神経堤細胞と癌細胞は様々な共通項を持っており、両者で共通の分子群を研究する事から癌を制御するカギを見出そうと現在のスタイルに到りました。異なる研究室がコラボするのではなく自身が中心となって両方の研究を進める事が新たな発見に繋がると信じておりますが「発生とがんは似て非なるものである」と考える先生も多く、まずこのスタイルで実績を示さねば、いや助成を受けないと始まらない、と悩んでおりました。本助成で評価していただけたおかげで自分のスタイルを押し進めようと思えるようになりました。その先には必ずや答えがあると言う事を証明する事に尽力したいと思います。これからも多様な研究者にご支援賜りますようお願い致します。

澤 新一郎
国立成育医療研究センター病院 内科系診療部 免疫科

海外での研究活動が比較的順調に進められたとしても、帰国後の研究生活が約束されている訳ではありません。帰国後、環境変化やテーマ変更への適応不安に打ち勝ち、研究活動を再開するには周到な研究計画と確固たる信念が求められます。アステラス病態代謝研究会の研究助成は、萌芽的な研究計画や帰国直後の研究者に対する支援という観点から、若手研究者にとって大変魅力的な制度であり、本助成に採択されたことは大変な名誉でもあります。私の場合、基礎免疫学から臨床免疫へと大きくテーマが変わり、ベンチワークからベッドサイドの仕事も要求される立場になりましたが、粘膜免疫という大テーマを見失うことなく研究活動を続けたいと考えています。

志内 哲也
徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 統合生理学分野

この度は、伝統ある貴財団の貴重な研究助成を頂き、誠に光栄に存じます。私の場合、転任直後であるとともに、所属研究室の研究分野と自分の研究分野が少し離れていたということもあり、新研究室での新たな実験のためのセットアップに多くの時間と費用が必要でした。このような状況での採択通知には、心躍る気持ちになりました。研究費や助成金の申請には、年齢のみならず所属学部からの推薦件数に制限があることが多い中、本研究助成は推薦不要であり、さらに年齢制限もないことから、多くの研究者にチャンスがあると思います。とりわけ、私のような境遇の研究者は、応募することをお勧めいたします。本研究助成を利用して得られた成果が、いつの日か社会へ還元できるように、日々研究に精進したいと考えております。

鈴木 辰吾
香川大学 医学部 神経機能形態学

新しく研究を展開させるためには、まず研究資金を獲得し、原石となる研究成果を生み出す必要があります。しかし、私のような若手研究者にとって、この原石を探す過程を支援して頂く機会は決して多くありません。
今回私は、幸運にも貴財団からの支援を受け、新しい研究に挑戦する機会を始めて得ることができました。研究者として未来への扉が一つ開かれたと感じると同時に、貴重なチャンスを頂けたことから身の引き締まる思いを感じております。このチャンスを活かし、その成果を社会へ還元できる日を迎えられるよう、研究に一層の尽力を注ぐ所存です。
最後に、萌芽的な研究を実施するチャンスを与えてくださいました貴財団と、そのような支援を可能にしていただきました貴財団の崇高な理念に対し、厚く御礼申し上げます。

瀬木 (西田) 恵理
京都大学大学院 薬学研究科 システム創薬科学

今回は貴財団に採択して頂き、深く感謝いたしております。私自身、応募時に何度も選考委員の先生方からのメッセージや過去の受賞者からのメッセージを読むことで、大変勇気づけられました。この度、私自身がこのメッセージを書く機会を得たこと、大変光栄です。2008年の留学帰国後、任期付きの職での研究グループの立ち上げ、更に出産・子育てなど、不安材料を数えればきりがない状況が続いていますが、このような受賞により誰かがどこかで見ていてくれるという暖かいメッセージを受け取ることが出来ました。研究という活動を「研究者の道のり」にも目を向けてチャンスを与えていただき、それゆえに、受賞して良かったという思いだけではなくその責任も感じます。また新たな発見に向けて頑張っていきたいと思います。

高須 清誠
京都大学大学院 薬学研究科 薬品合成化学分野

平成23年4月より研究室を主宰することとなり、「新たな研究テーマの企画」、「研究体制および環境の整備」、「研究資金の獲得」をこれまで以上に真剣に考えることとなりました。そのような中、これまでに成果を挙げた研究と若干異なる領域に挑戦しようという意気込みで申請書をしたため、貴財団の助成に応募しました。天の思し召しか採択通知を受け、上記のすべてが満たされるような幸せな気持ちになりました。しかし、実際のところは、この助成で何を為すかが今後の私の研究者としての試金石となるはずです。時々はささやかな幸せな気分を思い出して、益々精進を重ねたいと思います。

茶谷 絵理
神戸大学大学院 理学研究科 化学専攻 生命分子化学分野

このたびは、貴財団の研究助成対象者に選んでいただき、とても光栄に思っております。過去の助成者の方々にも沢山いらっしゃいましたが、私も、研究室を立ち上げたばかりで研究活動を軌道に乗せるために奮闘している最中の研究者のひとりです。設備も研究費も少ない不安定な時期に貴財団のサポートを受けられたことは、実験環境のセットアップのみならず、精神的にも非常に大きな励みとなっております。まだまだスタートラインに立ったばかりですが、本助成によるご支援を活かして、少しでも社会に貢献できる成果をあげ、研究幅も広げられるよう精進していきたいと思います。

土屋 賢治
浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター
大阪大学・金沢大学・浜松医科大学連合 小児発達学研究科 疫学統計学部門兼務

2007年に同僚たちと運営をはじめた出生コホートが、先ごろ、"4歳"を迎えました。出だしこそ一見順調でしたが、2年後の研究計画の大がかりな変更、運営資金の枯渇の危機、同僚の離職など、さまざまな試練を経て現在に至っています。まだこの先も試練があることでしょう。それでもわたし(たち)が「出生コホート」という地味な仕事にのめり込めるのは、子どもの発達の科学的理解という、今日の大きな課題に、直に取り組めるからです。そして、被検者であるお母さんやお子さんにとどまらぬ、多くの支援者がいて下さるからでもあります。貴財団助成金の採択の知らせに、背中を押された喜びを抑えられなかったこと、いまでも忘れることができません。

中川 崇
富山大学 先端ライフサイエンス研究拠点

この度は、栄誉ある貴財団の研究助成に採択していただき、誠にありがとうございました。私は、2011年4月に留学先の米国より帰国し、富山大学にて独立した研究室を始めたばかりでした。このように海外より帰国して、研究室を立ち上げる際には、すべてを一からそろえなくてはならず、スタートアップには多くの困難がありました。こうした状況に配慮をしていただける、貴財団の研究助成は非常に有り難く、貴重な存在でした。今後はこうした期待に応えられるよう、より一層努力を重ね、研究に精進していきたいと思います。

西江 渉
北海道大学病院 皮膚科

この度、2011年度アステラス病態代謝研究会研究助成金に採択して頂くこととなりました。大変光栄に存じるとともに、身が引き締まる思いです。これまで私は、遺伝病である"表皮水疱症"の病態メカニズム解明と新規治療法開発に携わってきました。今回の研究の目的は、細胞の採取が容易な抜毛した頭髪に着目し、非観血的な手法により表皮細胞を培養し幹細胞化させることです。本研究が表皮水疱症に対する新規治療法開発に繋がることを目標に、努力して参りたいと存じます。

花房 洋
名古屋大学大学院 理学研究科

本研究助成に採択して頂き、深く感謝するとともに大変光栄に思っております。今回、私は幸運にも2度目の受賞となりました。1度目は8年程前で、名古屋大学に赴任したてのころでした。当時、初めて自分で獲得した研究費でもあり、とてもうれしかったことを覚えています。このように研究の成果を評価して頂き、貴重な研究費をサポートして頂くことが、研究を進める上でどれほど重要か初めて知りました。あれから時間はあっという間にすぎましたが、今回、再び受賞させて頂いたことは、これまでの研究が多少なりとも認められたのだと、自分の励みになります。今後、本財団がサポートしてよかったと思ってもらえるような研究を行なえるよう頑張って行きたいと思います。

日比野 浩
新潟大学大学院 医歯学総合研究科 基礎応用器官生理学分野
(旧 医学部第二生理学教室)

この度は助成金を賜り、深く感謝しております。選考委員の先生方、財団の方々に、厚く御礼申し上げます。伝統ある新潟大学医学部の生理学教室を任されてから、早くも2年が経過しようとしています。なかなか思うように研究室が立ち上がらない中で、今回の助成金は、誠に有り難いものです。有意義に使わせて頂く所存です。我々が研究対象としている内耳は、極めてマイナーな器官です。反面、めまいや難聴に苦しむ患者数は、高齢化社会を確実に迎える日本において、年々増加しています。将来、これらの内耳疾患を克服すべく、研究に邁進していく決意です。

福井 竜太郎
東京大学 医科学研究所 感染遺伝学分野

若手研究者特有のオブセッションに過ぎないのかもしれませんが、現在行っている研究の内容は本当に価値のあるものなのか、今後も続けていくべきなのだろうか、と自問せざるをえない局面がしばしば訪れます。研究について熟考することは大切なのですが、迷っていては研究が大成しないことも明白でして、その折り合いをつけるのは大変むずかしいと感じております。
こうした未熟な悩みに惑わされる日々ですが、私の研究に「独創性」と「先駆性」を見いだし、助成対象として採択して下さった貴財団には心より感謝いたしております。萌芽的研究ゆえに検討すべき課題は多く残されておりますが、期待に応えられますよう精進していきたいと思います。

船坂 龍善
金沢大学 フロンティアサイエンス機構
(現:金沢大学 理工学域 自然システム学類 生物学コース 分子細胞生物学教室)

この度は貴財団研究助成に採択して頂き、厚く感謝申し上げます。私は海外留学から帰ってきて2年経ち、次へのステップアップにつながるような独創的で挑戦的な研究に取り組みたいと考えていたのですが、研究実績のない挑戦的な研究内容でもあり研究資金の獲得に苦労しておりました。そのような中で、「独創性、先駆性が高い萌芽的研究」「個人型の研究」を支援するという貴財団の趣旨はとてもありがたいものでした。そして助成対象者として選ばれましたことは大変光栄であり、今後の研究生活に大きな励みとなりました。今後もより一層多くの研究者の方々が、本研究助成により素晴らしい研究業績を挙げられることをお祈りしております。その中にはもちろん私も含まれているように研究活動に一心精進していこうと思います。

前田 礼男
東京理科大学 基礎工学部 生物工学科 発生遺伝子工学研究室

この度は、貴財団の研究助成金に採択していただき、心より感謝しております。研究助成の趣旨に記載されております、独創性、先駆性が高い萌芽的研究提案への支援は、新しい内容で研究を始めたばかりの私にとって大変魅力的なものに感じ応募させていただきました。また、応募条件に推薦者も年齢制限もないことから、自分の研究提案を純粋に審査していただける良い機会でもありました。
多くの応募者がいる中で、私のような若手研究者の研究アイデアを評価していただけたことは、今後、研究者として生きていく上での大きな自信になるものと考えております。研究活動を通じて、国内外の科学の発展に貢献できるよう努力していきます。これからも、本助成を受けている多くの研究者の皆様のご活躍と貴財団のさらなる御発展を願っております。

松永 耕一
群馬大学 生体調節研究所 遺伝生化学分野

この度は貴財団より研究助成をしていただき大変光栄に思います。所属が移り、少し研究内容も変わったことにより、以前から構想のあった本研究テーマに関する研究試薬などが現所属では乏しかったので、貴財団からのご支援は大変助かり、一層研究に励もうと考えております。このような個人型研究や立ち上げたばかりの研究に支援の光をあてる本助成は、若手研究者にとっては大変心強いものです。これを励みにして研究成果につなげられるように努力していきたいと思います。

松原 亮介
神戸大学大学院 理学研究科 化学専攻 有機反応化学研究室

私は昨年、留学先から帰国直後に独立の研究室を立ち上げる機会をいただきました。独立の研究室を立ち上げる際には、昔のボスとは全く別のテーマで研究をすると粋がっていた私ですが、実際に、これまで自分が扱ったことのない新しい研究テーマで様々な助成金申請書を書く段階になり、果たして審査員の方々は化学者としての私を信じてくれるだろうかという不安がありました。財団によっては、これまで行ってきた研究を基礎とした応用研究を重視するものもあります。そのような中、貴財団に、独創性、先駆性が高い萌芽的研究提案として評価され、採択の報をいただきました時には、大変感動いたしました。寛大な視点で審査してくださいました貴財団の期待を原動力とし、頂きました貴重な助成金を基に、現在研究に没頭しております。

丸山 達生
神戸大学大学院 工学研究科 応用化学専攻

初めての応募で採択してくださり、感謝とともに驚きの部分が多いです。しかも、私は工学部所属で、医薬系になんらつてを持っておりません。このことは、本研究助成が分け隔てなく、申請書の内容を公正に評価し、「独創性、先駆性が高い提案」を選んでくださったことを意味していると思います。昨今、実用化研究傾向が強まる中、「独創的な面白い研究」を行うには相当な勇気と強い信念が必要です。特に地方大学ではその傾向がより強いです。そのような中、「独創性、先駆性」を見ていただけ、さらに審査員の方から温かいコメントもいただき、強く励まされました。今回、助成金対象者にお選びいただいたことに感謝申し上げるとともに、いただいた助成金を研究・教育に有効活用し、将来につなげていく所存です。

森岡 裕香
北海道大学 遺伝子病制御研究所 感染癌研究センター 疾患モデル創成分野

この度は、平成23年度研究助成金に採択していただき、大変光栄に思っております。
私は平成22年に現在の所属に異動し、独立して研究を開始いたしました。1年目は無我夢中のうちにあっという間に過ぎてしまい、ようやく落ち着いてきた2年目からは、研究費の獲得が大きな課題と感じておりました。
そのような状況の下、多くの民間助成金にありがちな推薦枠や研究領域の限定、年齢制限などが全くない一方で、独自の支援の趣旨が明確に示されている貴財団の応募要領は目を引くものであり、運良く複数の項目に合致していた私はすぐに応募することを決心いたしました。本助成金は、使途の自由度が高いことも大きな魅力であると感じました。
幸いにも応募課題を評価していただけたことを励みとし、研究の発展に全力を尽くしたいと思っております。

山本 正道
群馬大学 先端科学研究指導者育成ユニット

今回は貴財団に採択してくださり、大変感謝しております。私は企業から大学へ戻ってきて研究室を立ち上げたばかりで、財政的に極めて厳しい状況でした。そのような折に、本助成金は推薦者が不要で、基礎から臨床まで幅広い研究を対象とし、教室を立ち上げたばかりの研究者及び萌芽的研究への積極的な支援を助成の趣旨とされていらっしゃるので募集に応募させていただきました。 これからも現在の研究助成の趣旨を続けていってくださる事を強く願います。貴財団の益々のご発展をお祈り致しております。

脇 嘉代
東京大学大学院 医学系研究科 健康情報空間学

この度は貴財団の研究助成金に採択して頂き、誠に光栄に存じます。本研究テーマは生体肝移植を対象とした「胆汁うっ滞性疾患の肝移植予後と移植免疫の関連性の検討」であり、特にドナー特異的抗HLA抗体と拒絶反応、免疫寛容の関連性を検討することです。患者さんの病態によって免疫抑制剤の投与量を調整し、免疫抑制剤による副作用を最小限にして患者さんの負担を軽減することを最終的な目標としています。臓器移植後の患者さんは拒絶反応を防ぐため、殆どの場合、長期にわたる免疫抑制剤の投与が必須であり、それに伴う副作用は患者さんのQOLを著しく落としています。大きなテーマではありますが、今回の受賞を励みに、日々研鑽を積んで参りたいと存じます。

和田 妙子
自治医科大学大学院 分子病態治療研究センター 幹細胞制御研究部

平成23年度研究助成金に採択していただき、心より感謝申し上げます。
貴財団助成金は「独創性、先駆性が高い萌芽的研究」、「女性研究者」を支援していただけるとのことで、応募致しました。本研究課題は、当研究室がこれまでに行ってきた研究を大きく発展させ染色体転座に挑む新しい研究です。今回の採択により、本研究課題に対する自信と責任を感じております。また助成金は研究の推進に大きく役立たせていただいております。今後も貴財団のご支援により、多くの研究者が「疾患の解明と画期的治療法の開発に関する研究」に貢献できることを願っております。



2011年度海外留学補助金受領者(所属は交付時。敬称略・五十音順)

今井 博貴
東京大学 医科学研究所 ウイルス感染分野
留学先:Research Center Borstel, Germany

この度、貴財団の海外留学補助金に採択されたことを大変光栄に思います。私の研究を採択して下さいました先生方、関係者の皆様、またメールでの質問に非常に丁寧に回答して頂きました事務局の先生にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。申請時、既にドイツにて研究を開始していましたが、交付規程に該当していたため応募することができました。申請は全て財団ホームページの申請サイト及びE-mailにより行うため海外からも応募しやすく、5月または6月に留学を開始する研究者の方にとって大変ありがたい留学助成であると思います。頂いた留学補助金により自身の研究生活を充実させるとともに、社会への還元を目指して日々研究に励んでいきたいと思います。

大久保 公美
東京大学大学院 医学系研究科 社会予防疫学分野
留学先:University of Southampton, UK

海外留学助成金の内定通知を受け取ったときの興奮は今でも忘れられません。一時はあきらめかけていた海外留学。しかし、その瞬間から一気に実現に向けて動き出しました。また、応募者が大変多いなか、研究者人口の少ない栄養疫学研究で採択していただいたことは、私にとって非常に大きな自信につながりました。アステラス病態代謝研究会ならびに関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。この先、文化も研究環境も異なる国で、新たな試練・挑戦が待ち受けていると思いますが、今回いただいた機会を大切にし、自分の研究を通して、いつか社会そして次世代に還元できるよう日々尽力していきたいと思っております。

財賀 大行
(財)日本予防医学協会
留学先:Max Planck Institute for Infection Biology, Germany

この度はドイツ留学費を支援していただき、誠にありがとうございます。私は竹田潔教授指導のもとで7年間、結核菌に対する自然免疫機構について研究を行ってまいりました。留学先であるドイツは結核菌を発見したロベルトコッホが研究を行っていた地でもあり、そのような結核の本場(?)で新たに結核免疫の研究ができるということで大変うれしく思っております。このようなチャンスを無駄にせず、研究はもちろんのこと海外生活を通してヨーロッパの文化や歴史に触れ、多くのことを学びたいと思っております。最後に、留学を考えている研究者の方々へ:是非海外というフィールドで自分の力を試してみてください。人生後悔のないように。

鈴木 玲
福島県立医科大学 医学部 消化器・リウマチ膠原病内科学講座
留学先:University of Texas, USA

この度、貴財団の海外留学補助に採択頂きありがとうございます。臨床医として常日頃、「膵癌の早期診断・治療」に貢献したいと考えており、M.D. Anderson Cancer Centerでの研究を決心しました。当施設は附属研究施設や国内・国外の他大学、企業との共同研究が盛んに行われております。私の研究テーマは、近年発展の目覚ましいナノ工学を膵癌の診断・治療へ応用することであり、動物実験を中心に研究を進めております。2011年は大震災・留学と多忙を極めました。今後は貴財団の助成を励みに、研究活動に邁進して参ります。

千住 洋介
東京大学 分子細胞生物学研究所 細胞形態研究分野
留学先:University of Helsinki, Finland

この度は、非常に厳しい採択率の中で、貴財団の海外留学補助金を交付いただき、誠にありがとうございます。海外留学補助の趣旨は、「疾患の解明に関する研究」であり、「独創性、先駆性が高い萌芽的研究提案」ということでありました。私は、留学先で、癌転移を抑制する脂質結合タンパク質に着目し、電子顕微鏡や生物物理的手法を用いて、細胞における生理学的な意義を明らかにする計画です。この提案内容が、貴財団の趣旨に合致し、評価していただいたと思っています。私が研究者を志した理由の一つに、留学したいという思いが強くありました。このような貴重な機会を与えていただいたことに深く感謝申し上げるとともに、海外の大学で活躍している研究者から多くのことを学び、少しでも一人前の研究者になれるように、充実した留学生活を送りたいと思います。

竹内 啓善
慶應義塾大学大学院 医学研究科 博士課程 精神・神経科学教室
留学先:University of Toronto, Canada

この度は留学助成を頂くことができ、大変光栄に存じます。
私はこれまで、抗精神病薬による統合失調症治療の最適化をテーマに、臨床精神薬理分野における研究を行ってまいりました。その一環で抗精神病薬による代謝系副作用の軽減に関する研究にも携わり、この助成に申請させて頂きました。留学先のトロントでは、さらにこのテーマについて追究し、日々の臨床に還元できる研究を続けたいと考えております。
頂いた助成は最大限に活用し、研究に邁進すると同時に有意義な留学生活を過ごせるよう、日々精進していく所存です。
最後になりましたが、このような機会を与えて下さったアステラス病態代謝研究会と関係者の皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

長谷川 大輔
聖マリアンナ医科大学 医学部 医学科 消化器肝臓内科学
留学先:Mt. Sinai School of Medicine, USA

本日(2012.3.11)はあの忘れられない東日本大震災から丸1年たった日です。まず、謹んで追悼の言葉を申し上げます。今回は歴史ある貴財団の研究助成に採択していただき、大変感謝致します。推薦者が必要なく年齢制限もない完全公募制である貴財団の海外留学補助金を受賞させて頂いたことは、大学院時代からの私の夢となっていた海外研究留学への道を歩むための決意を抱く上で大変励みになりました。家族を養う立場でありながらの米国留学は、決断するにあたり様々な葛藤が私自身に生じました。しかしながら、臨床講座で通常診療させて頂いていた患者さん、大学病院スタッフや家族からの厳しく温かい励に加え、貴財団からも強く背中を押していただいたことで断固たる決意をもつことができました。私にとっても今日という日を忘れることなく、ただ真っすぐに信じる研究の道を歩みたいと思います。

花園 元
理化学研究所 脳科学研究センター 脳統合研究チーム
留学先:Glasgow Caledonian University, UK

今回の東日本大震災にて私の実家は津波の被害に遭いました。両親は車中で津波にさらわれ、引き潮とともに沖に流される所でしたが、壊れた車窓から逃げ出して一命をとりとめました。
 私の英国留学は地震の前から計画しておりましたが、地震に伴う臨時出費により留学計画の見直しを迫られているところでした。このたび、貴財団の海外留学補助金を頂き、資金繰りの見通しも明るくなり、英国留学を継続することが可能になりました。心より感謝いたします。家族とともに英国で過ごせる事に感謝しながら、一日一日を大事にしていきたいと思います。

松浦 由佳
恒聖会 大塚ブレストケアクリニック 放射線科
留学先:Stanford University School of Medicine, USA

私が彼らに出会ったのは2009年。わずかな期間ではあったが彼らと時を共に過ごし、"ここで、彼らと一緒に研究をしたい"との思いに駆られた。今回の留学は2年越しで実現したものである。先方からの条件は、自分で助成金を確保すること。しかしMDもPhDも有さず、研究機関に属してすらいない私が、留学にあたって応募できる助成金などほとんどないのが現実である。たとえ応募できたとしても決して審査を通過できないだろうと、半ばあきらめながら応募させて頂いたのが本制度であった。
高倍率の審査を経ての交付決定との知らせを受け、今なお信じられない思いではあるが、大した研究実績すらないこの私の、留学への強い思いを汲み取って下さった選考委員の皆様、研究会関係者の皆様に心より深謝し、ご期待に沿えるよう研究に励んできたいと思う。

森井 大一
大阪大学 医学部附属病院 感染制御部
留学先:Emory University, USA

留学生活を初めて半年が経過しました。30歳を過ぎて、妻と子供二人を連れて、フルタイムの学生に戻りました。経済活動は一切行わず(使う方の経済活動は多少していますが)、勉強に打ち込んでいます。怠け者の医学生時代を取り返さんとするかの如くです。畑違いのPolicy Science/Economics/Public Health Lawなどは、どれも手に負えない程のreading assignmentを課されますが、内容は実に刺激的でしばしば目からうろこ的体験に遭遇します。Statistics/Epidemiologyは、曖昧にしてきた分野でしたが、本腰を入れて勉強できる環境にあることに喜びを感じています。日本から持参したdataを、こちらのstatisticianの力を借りながら解析しており、論文化の目途が立ったところです。授業のない日は、Labで肺炎球菌に関する基礎研究をしています。医師の目で、科学者の目で、日本人の目で、Health Policyを考える日々です。与えていただいた機会に、自分の能力の許す限り応えていく所存です。