2009年度

受領者からのメッセージ

2009年度受領者からのメッセージ

2009年度研究助成金受領者(所属は交付時。敬称略・五十音順)(2009年度は病態代謝研究会として助成交付をしています。)

池田華子
京都大学 医学部 眼科学教室

昨春、病院勤務から、大学の助教に戻らせていただき、研究を再開いたしました。現在、緑内障や網膜色素変性といった、眼難治疾患に対する、神経保護剤を用いた新たな治療法の開発に取り組んでおります。研究再開時、制度上の問題で、科研費のスタートアップにも申請できず、研究上の指導をいただいております垣塚彰教授(京大生命科学研究科)から病態代謝研究会の研究助成金への申請を勧めていただき、この助成金の存在を知りました。慣れない申請書作成に苦労いたしましたが、申請を認めていただいた時には、うれしいと同時に、成果を出していかないと、と身の引き締まる思いがいたしました。この研究助成金は、謝金や旅費など、用途が自由である点がとてもありがたく、重宝させていただいております。研究計画を申請としてまとめる作業も勉強になりますし、私自身、機会がありましたら、また申請させていただきたいと思っております。

稲田明理
九州大学大学院 医学研究院 幹細胞ユニット 糖尿病遺伝子分野

厳しく公平な審査が行われ、非常に少ない採択率の中でこの助成を頂けたことは大変光栄で励みになりました。また、貴財団には海外留学の際にも補助金を頂きました。心より感謝申し上げます。
留学中には科学者として研究に没頭する期間に恵まれましたが色々な場面での葛藤も体験致しました。また研究を通じて研究室の運営・雇用なども学びました。
ハーバード大学より帰国後、九州大学に新設されたスーパースタープログラムにより独立した研究室を立ち上げさせて頂き、ラボのメンバーと共に挑戦的な研究を行っています。この挑戦的な研究は、私が大学院の学生の頃から約15年に渡り不思議に思い続けてきた現象に対して仮説を立て、いくつかのプロジェクトに分けて様々な角度から実験を行っているものです。
実験には多くの時間を要します。是非、長期的・継続的な支援をして頂けると大変有難く存じます。そしてまた、この制度を通して少しでも多くの科学者が夢を追い、その成果を出し続けることができることを願っています。

今泉和則
宮崎大学 医学部 解剖学講座 分子細胞生物学分野

私どもが在籍する地方大学では研究費の財源も乏しいこともあり、研究を継続的に遂行する上で本研究助成は力強いご支援になりました。この研究ににより「骨におけるタンパク質品質管理」という骨代謝の新分野を開拓できたように感じております。今後はさらに研究を進め、骨代謝疾患の根本治療につながる薬物開発に全力を注ぎたいと思います。

大内淑代
徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部 ライフシステム部門 発生進化工学研究室

私が本研究助成に応募した理由は、貴研究会が特に萌芽的研究と女性研究者とを支援する点を謳っていたからです。当方の研究をご支援くださるというメールを頂戴したとき、「残念ながら、、、」という封書を何度も開いてきた私にとっては非常に嬉しい知らせで、「地方で頑張って研究をしている私にもサポートしていただける!」と、大きな励みになっています。女性の研究者人口はまだまだ少ない現在にあって、このような支援をして頂ける貴財団に深謝いたします。

大鳥精司
千葉大学大学院 医学研究室 整形外科

私は整形外科・脊椎外科領域における、新規骨癒合促進因子に関します臨床研究で申請させていただきました。一般的に整形外科領域の研究は内科、外科の研究より申請が通りにくい点がございますが、本財団の特徴として基礎から臨床まで幅広く公募している、また、様々な診療科に門戸を広げているという素晴らしい2点が挙げられると思います。今後申請を予定している多くの先生方にとって、その点は大きな励みになると思っております。将来的に、当助成が今まで通り様々な研究課題に行われる事を祈念しております。

加納純子
大阪大学 蛋白質研究所 生命維持情報ネットワーク研究グループ

私は、平成21年春に自分のラボを立ち上げたばかりで、まだ実験器具も満足に揃っていないところでしたが、病態代謝研究会の研究助成金をいただくことになり、大変助かっております。病態代謝研究会は、民間の研究助成金の中ではめずらしく「基礎生命科学研究」の支援もしていること、そして「女性研究者」や「独立したばかりの研究者」の支援に熱心であることから、私のような者には非常にありがたいです。特に女性研究者の皆さん、どうぞ奮って応募してみてください。

佐藤容子
関東学院大学 人間環境学部 健康栄養学科 生理学講座

私は申請時、大学を移籍して間もない頃でしたので、「教室を立ち上げたばかりの研究者」への支援を謳う当財団の理念に強く惹かれ、応募させていただきました。また、「女性研究者」を重視されているということも、応募への大きな励みとなりました。このたびの助成により、研究を大きく発展させることができ、また気持ちのうえでも多大な励ましを頂戴した心持ちがいたします。今後もより一層多くの方々が本研究助成に応募され、すばらしい研究成果を得られるよう願っております。

佐野浩子
お茶の水女子大学 お茶大アカデミック・プロダクション

私が本研究助成に応募したのは、研究室を立ち上げて1年ほど経った頃でした。やっと実験機器が揃い、最初のポスドクが着任したばかりという文字通り駆け出しの研究室でしたので、「教室を立ち上げたばかりの研究者を支援したい」という本財団のメッセージに強く惹かれました。研究の方は、それまで慣れ親しんでいたショウジョウバエをモデルとして、新たに脂質制御の解析を開始していました。脂質制御の分野ではモデル生物を用いた研究は少なく、このテーマを認めてもらえるのだろうか?という不安を抱えての出発でしたので、今回の受賞には大変励まされました。このチャンスを生かし、本分野の発展に少しでも貢献できるよう努力したいと考えています。

篠原美都
京都大学大学院 医学研究科 遺伝子医学講座 分子遺伝学分野

伝統ある研究助成に採択され大変光栄です。病態代謝研究会の助成金は推薦の必要がなく、若手の独創的な研究を支援してくださることがとても有り難いです。また基礎研究と応用研究の両方に理解があることが特徴だと思います。私は医学部を卒業してからずっと基礎医学に携わり、現在は哺乳類の精子形成を支える幹細胞システムの研究をしております。臨床は全く経験がありませんが、基礎の立場から将来の医学応用につながるような研究成果を挙げられたらと願っています。

内匠 透
広島大学大学院 医歯薬学総合研究科 統合バイオ研究室

40歳を過ぎると財団関連をはじめ多くの研究助成に申請することすら極端にチャンスが減る中、貴財団は年齢制限がなく、競争も激しく、選考していただくこと自体が名誉であると理解しております。私の場合、今回の助成は、研究サポートのあった研究所から何もない大学への移動に重なり、大きな不安がありましたが、これまでの研究室のレベルを落とさず移動する上で、大変有難い存在でありました。年齢に関係なく、新たな研究にチャレンジする勇気を与えていただける財団として、今後も変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。

塚本佐知子
熊本大学大学院 医学薬学研究部 天然薬物学分野

私は、平成21年5月に熊本大学に着任しました。新しい研究室を立ち上げるために、科学研究費に加えて、いろいろな財団の助成金への申請を鋭意行っております。ちょうどその頃、募集されていた本財団助成金の応募要領に「特に支援したい研究者の条件、『創造的かつチャレンジングな萌芽的研究』、『個人型研究』、『女性研究者』、『教室を立ち上げたばかりの研究者』」と記載されており、その条件に合致することを心強く思い、本財団助成金に応募させていただき、採択されました。お陰様で、新しい研究室をセットアップし、申請研究を展開させることができ、大変感謝しております。『女性研究者』や『教室を立ち上げたばかりの研究者』を支援することを明記してある財団は大変珍しいと思います。私のような条件におられる方がたくさん応募されると良いと思います。

林 郁子
横浜市立大学大学院 生命ナノシステム科学研究科 計測科学研究室

2年前に留学から帰国して研究費獲得に右も左もわからず困っていたところ、学科のとある教授から病態代謝研究会の研究助成への応募を勧めていただきました。グループ立ち上げに際し研究会にはご支援をしていただき、心強い限りです。疾患にもつながる重要な生命現象を基礎から応用まで理解し医学へと結びつける、そんな姿勢への研究助成に是非チャレンジしてみてください。

樋口麻衣子
東京大学 分子細胞生物学研究所 情報伝達研究分野

この度、病態代謝研究会より研究助成をいただき、心から感謝しております。とてもフェアで厳しい選考が行われていると伺っておりますので、多くの申請者の中から助成対象者として選ばれましたことをとても光栄に思っております。 現在、私は原がん遺伝子aktの役割を中心に、癌悪性化を引き起こすメカニズムを研究しております。貴研究会から助成いただきました事を励みに、今後さらなる研究の発展を目指すべく邁進していく所存です。

南 雅文
北海道大学大学院 薬学研究院 薬理学研究室

行動薬理学的解析は、生きた個体を扱うため、多大な労力と時間を必要とする一方で、個体間のバラツキなどにより有意差をもったデータが出にくいこともあり、研究費の獲得に苦労しているところです。しかしながら、個体レベルでの行動および薬効解析は薬理学の基盤となるものであり、創薬においても必須のものであります。このような学問領域における研究を地道に行おうとする研究課題にご理解をいただき、平成21年度研究助成金交付対象としていただいた病態代謝研究会には大変感謝いたしております。

柳田素子
京都大学大学院 医学研究科 生命科学系キャリアパス形成ユニット

貴財団の研究費は数年前、私が独立した時に初めていただいた研究費でもあります。
推薦者が不要である点、アイデアのみが審査される点、年齢制限がない点を大変画期的に感じました。幸いなことにその申請が認められ、研究費が振り込まれたときにはとても有り難かったのを昨日のことのように覚えております。
1年後には研究報告会に出席させていただきましたが、次々と報告される研究のレベルの高さにも先生方の鋭いご質問にも圧倒される思いでした。それ以来、貴財団からまた助成をいただけるような研究をしたい、先生方のご質問にしっかり応えられるようになりたいという思いで研究を続けてまいりました。私はまだ研究者としても始まったばかりですが、貴財団こそが私に研究の面白さを教えてくださった「先生」であったと思います。
貴財団の助成交付金をいただきましたことを励みにして今後も精進してまいりたいと思っております。

矢野 環
東北大学大学院 薬学研究科 生命機能解析学分野

生物の持つ「何とかする」能力に魅せられて
根が呑気者のせいか、生体の機能がすべてゲノムにコードされていてきっちり予定通りに動くとは到底思えず、予期せぬ出来事に何とか対応する、という“いい加減さ”を生物は持っているに違いない、と勝手に考えており、そんな「何とかする」能力を、感染症に対する生体防御機構で研究したい、と助成金に応募させていただきました。おそらくシーズ研究には、個々人の様々なバックグラウンドから生み出される多様な発想が重要で、病態代謝研究会助成金によるそういった研究のサポートに、力づけられる思いです。貴財団に深く感謝申し上げると共に、創薬科学の発展に深いところで寄与できる研究をと勇躍しております。

吉田千春
大阪府立母子保健総合医療センター研究所 病因病態部門

当研究室では、哺乳動物であるマウスの発生・形態の分子機序の解明を目的に、研究を進めております。これらの研究成果は、先天性奇形や小児発育期の病態疾患発症メカニズムの解明に繋がるものと考えております。今回、貴財団の目的である、「病態と生体内代謝の研究から治療薬の進歩に貢献する」という視点に合致すると強く感じ応募致しました。また応募要項に「女性研究者の支援」を掲げて頂いている点においても、現在、小学1年生の息子を育てながら研究を続けている私にとって、大変有り難い機会を頂けたことを感謝しております。受賞の知らせを聞いて、自分の研究内容を評価して頂けたと同時に、子育てと研究の両立に日々悩んでいる私を応援してくださったと嬉しく思いました。貴財団によるサポートシステムが結婚・出産の後、研究を続けたいと考えている女性研究者の一つのロールモデルになることを願っております。

渡辺 賢二
岡山大学 異分野融合先端研究コア 天然物有機化学研究室

病態代謝研究会の研究助成に申請した理由は、我々の研究が助成の研究対象の一つである天然物を用いた創薬科学であるためです。財団助成の申請にあたり、研究助成の趣旨が申請者の研究目的と一致していることが重要であると考えられます。また、申請時に推薦者を必要とせず、年齢制限は無く、交付金の使途が限定されていない点は、申請者にとって大変助かる研究助成です。
本財団の助成方針として「創造的かつチャレンジングな萌芽的研究」あるいは「教室を立ち上げたばかりの研究者」を特に支援することがあげられます。これらは他の財団の助成方針と比較して、若い研究者が研究費の獲得の機会をより多く得られると期待できます。従って、若い研究者の方々に自分の独創的な研究計画を本研究会にぶつけてみることをお勧めします。



2009年度海外留学補助金受領者(所属は交付時。敬称略・五十音順)(2009年度は病態代謝研究会として助成交付をしています。)

伊藤綾香
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 分子代謝医学分野
留学先:University of California, Los Angels, USA

「食」がもたらす生命現象に興味を持ち、「食」と関わりの深い、生活習慣病に関する研究に取り組みたいと考えていました。どうしても海外で研究してみたい。異なる文化や思考、異なる経験を持つ人たちと共に、生活習慣病の予防や治療に応用されるような基礎研究に取り組みたいと思い、留学助成に申請しました。病態代謝研究会といえば、その研究助成には数多くの著名な研究者が採択されている伝統ある財団。疾患治療を目指した基礎研究、臨床応用研究のひとつとして助成して頂けることになり、とても嬉しく思います。留学4ヶ月目、助成して頂けることが大きな励みになり、緊張感を保ちつつ研究生活を送っています。病態代謝研究会からの助成は充実した研究留学生活のための心強い支えです。

加治屋 崇
鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 循環器・呼吸器・代謝内科学
留学先:University of California, San Francisco, USA

私はカリフォルニア大学サンフランシスコ校にてメタボリックシンドロームについての基礎研究(現在は主に脂肪細胞の代謝について)を始めるにあたり、病態代謝研究会の趣旨と合致していると考え応募させていただきました。現在、サンフランシスコ在住ですが、常に経済的不安があるため、助成金をいただき心より感謝申し上げるとともに、研究に一層真摯に取り組まなければと気持ちを新たにしております。

岸本泰士郎
慶應義塾大学 医学部 神経精神科学教室
留学先:Albert Einstein College of Medicine, USA

この度、海外留学補助金を頂戴いたしました。誠にありがとうございました。申請に当たっては、私の分野である臨床精神薬理、すなわち臨床現場に直結する精神科薬の効果・副作用研究の必要性や、この分野での研究者が比較的少ないことを述べさせていただきました。基礎研究のみならず、私のような臨床研究に従事する者を評価して下さったことに大変感謝しております。諸手続においては、事務局の方から非常に親切な対応をしていただき重ねて御礼申し上げます。

平野節
東京大学大学院 農学生命科学研究科 醗酵学研究室
留学先:Yale University, USA

病態代謝研究会の海外留学補助金には応募要領の「創造的かつチャレンジングな研究と女性研究者を支援する」という部分に魅力を感じ、申請することにしました。留学希望先の先生には、日本で留学助成金を獲得することを受け入れの条件とされていたので、私の申請が採択された時には本当に嬉しく思いました。このような研究留学の機会を与えて下さった病態代謝研究会と関係者の皆様に深く感謝いたします。留学後はこの気持ちを忘れることなく、研究に励みたいと思います。